最小包含球に関して
教えている専門学校生は、ゲーム制作を主として勉強しているのだけれども、前回講義が終わってから質問があった。当たり判定を行う上で、キャラクターのポリゴンを包むエリアを球で表したいけれども、その最小の球の中心と半径を求めたいとな…。
ふむふむ、当然、そういうケースも起こりうるわなぁと。
「で、今はどんな方法を?」
「とりあえず、頂点の平均値から中心を求めているが、当然最小ではなくて、他の方法を探しています」
「平面であれば外接円を求めることになるよね?」
「それは分かりますが、空間で行う場合のアルゴリズムが分からないので…」
調べましたがな…
即答するのには、こちらも手持ちのネタがない。
「1週間待ってくれ。ヒントぐらいはあげられる筈だから…」(本当か?)と思いつつ、調査することに。
いろいろな方法が有るんだけれども、ゲームということは実行時間が短く、メモリをあまり食わない方法が最適。この条件で良さそうなものを探すことに。見つけたのが、
「
点の集合を包含する球」という文献。
ここにも、様々な方法が紹介されているものの、最後のものが良さそう。
ということで、実際にコーディングして確かめることに。
条件は変なデータはないという前提でエラーチェックも最低限にして…。
#include <math.h>
#include <stdio.h>
#define INPUT_FILE "stars-s.txt"
#define DATANUM 30
typedef struct {
double x, y, z; /* coordinates */
} pos;
int n=DATANUM;
pos point[DATANUM];
pos center;
double distance(pos p,pos pp)
{
double rr;
return((pp.x-p.x)*(pp.x-p.x)+(pp.y-p.y)*(pp.y-p.y)+(pp.z-p.z)*(pp.z-p.z));
}
double solve_by_movement(void)
{
int k,i,t;
pos p;
double move,max;
p.x=50.0;
p.y=50.0;
p.z=50.0;
move=0.5;
while(move>1.0e-8){
for(t=0;t<100;t++){
max=0.0;
for(i=0;i<n;i++)
if(distance(p,point[i])>max){
max=distance(p,point[i]);
center = p;
k=i;
}
p.x += (point[k].x-p.x)*move;
p.y += (point[k].y-p.y)*move;
p.z += (point[k].z-p.z)*move;
}
move /=2.0;
}
return (max);
}
int main(void)
{
int i;
double rr;
const char *path = INPUT_FILE;
if (freopen(path, "r", stdin) == NULL) {
perror(path);
return 1;
}
for (i = 0; i < n; i ++) {
if (scanf("%lf%lf%lf", &point[i].x,
&point[i].y, &point[i].z) != 3) {
return 1;
}
}
rr=solve_by_movement();
printf("r=%.5f , (x,y,z)=(%.5f,%.5f,%.5f)\n", sqrt(rr),center.x,center.y,center.z);
return 0;
}
動作確認したが、取り敢えず正解っぽい。
まあ距離を2乗で求めるようにして、表示の時のみルートを取るということで簡略化。
あとは紹介されているアルゴリズム(コード)を流用してサクッと完了。
どの程度の処理か確認
動けばいいって問題ではないので、実際のコードの動きをチェック。
$ gcc smallest.c -lm -pg
で、プロファイルを取ることに。で、以下がその内容。($ gprof --brief)
Flat profile:
Each sample counts as 0.01 seconds.
no time accumulated
% cumulative self self total
time seconds seconds calls Ts/call Ts/call name
0.00 0.00 0.00 87316 0.00 0.00 distance
0.00 0.00 0.00 1 0.00 0.00 solve_by_movement
Call graph
granularity: each sample hit covers 4 byte(s) no time propagated
index % time self children called name
0.00 0.00 87316/87316 solve_by_movement [2]
[1] 0.0 0.00 0.00 87316 distance [1]
-----------------------------------------------
0.00 0.00 1/1 main [6]
[2] 0.0 0.00 0.00 1 solve_by_movement [2]
0.00 0.00 87316/87316 distance [1]
-----------------------------------------------
Index by function name
[1] distance [2] solve_by_movement
距離を求める関数を87000回も呼び出してる…。
初期値を、空間の中心からスタートしているから、試行回数をもっと減らしても良いはず。ということで、t<100をt<20まで減らしても正確な答えを求められた。
すると、呼び出し回数は17456回に収まった。
あとは精度の問題でもっと荒くても良いのであれば、随分早くなるんだろうな。
PCが速すぎる
今回条件を変えたりしても、実質0.0秒以下で答えが求まってしまう。マシンのスペックが原因ですね。昔のような遅いマシンだったら、アルゴリズムや条件によって、答えが出るまでに随分差が有るんだろうけど。今時は多少無駄な方法を使っても、判断できないほど高速なので逆に困ってしまう。速くなったという実感すらわかない。
こういった、アルゴリズムを比較するためには、学習用の遅いマシンか、遅いエミュレータを用意する必要があるかも。
案外、教育現場なら需要があるのかな〜なんて思ったりして。誰か作りません?(笑)
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